第11回地域語部の会を開催
『ほんとうの「食の安全」を考える~ゼロリスクという幻想~』
講師に国立医薬品食品衛生研究所の畝山智香子氏を招く


講師の畝山智香子先生


「第11回地域語部の会」会場のようす

 ぐんま食の安全・安心県民ネットワークでは3月11日、群馬県との協働事業である第11回地域語部の会を開催しました。ヒトに対するさまざまなリスクについて理解を広げ、食の安全について考えてみようと、薬学博士で国立医薬品食品衛生研究所安全情報部第三室長の畝山(うねやま)智香子氏を講師に招き、『ほんとうの「食の安全」を考える~ゼロリスクという幻想~』と題する講演を聴きました。地域語部の会には県民、事業者など89名が参加しました。

 講演に先立ち、中嶋源治県民ネットワーク会長の呼び掛けで、2年前に発生した東日本大震災で犠牲になられた方々のご冥福を祈り黙とうを捧げました。


東日本大震災の犠牲者の冥福を祈って黙とう

 以下のようなお話のあと、畝山先生は、参加者の質問や疑問にひとつづつ丁寧に答えて下さいました。

○リスクとは「ある」か「ない」かではなく、「どのくらいの大きさか」「どちらが大きいか」と定量と比較が大切である。

○食品安全とは、意図された用途で作ったり食べたりした場合に、その食品が消費者へ害を与えないという保証であり、“リスクが、許容できる程度に低い状態”を表していて、リスクがゼロという意味ではない。リスクを定量比較して全体のリスクをできる限り小さくしていくしかない。

○栄養やエネルギー源として食べてきた食品は、食べてもすぐに明確な有害影響がないことが分かっている未知の化学物質のかたまりである。食品には安全のための「基準値」がないもののほうが多い。

○基準値だけを気にしても食生活全体の安全性にはつながらない。もし玉ネギが食品添加物だったらサラダを提供した店長が毎日のように謝罪会見する光景を見ることになる。また、ひじきご飯にはBMDL0.1※1の69倍、BMDL0.5※2の7倍の無機ヒ素が含まれている。
(※1、2発がんリスクが1%または5%増加する用量の95%下方信頼限界)

○食の安全確保の考え方は、「食品はもともと安全なものという幻想のもとで、国が市販食品の基準を決め、生産者が基準だけを守り、消費者はそれを監視する」という古い概念から、新しい概念に進化している。
すなわち、「食品にはもともと膨大で多様なリスクがあり、安全性確保のためには、農場から食卓まであらゆるプロセスで一貫した対応が必要であり、全ての関係者が責任をもつ」ということである。

○食品のリスクの大きさを比べると、「効果をうたった健康食品(極めて大きい)」>「いわゆる健康食品(大きい)」>「一般的食品(普通)」>「基準値超過の食品添加物や残留農薬(小さい)」>「基準以内の食品添加物や残留農薬(極めて小さい)」となる。

○すべての食品には何らかのリスクがあり、決して低くなく、正確な中身が分からない。リスク分散のためには、特定の食品(特定の種類、特定の産地、特定の栽培方法など)に偏らないこと、つまり多様な食品からなるバランスのとれた食生活が大事。

 そのほか、健康食品やサプリメントの評価、発がん物質の種類や評価、MOEやDALYsなどの考え方とその実際の比較評価など、盛りだくさんのお話しを伺いました。

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